モニエル瓦・セメント瓦は塗装で長持ちする?屋根屋が塗装をおすすめしない理由

今回は、屋根塗装と外壁塗装のお見積もりのご依頼をいただき、現地調査に伺いました。

外壁に関しては、塗装をしても特に問題のない状態でした。
ただ、問題は屋根の方です。

今回の屋根はセメント瓦で、モニエル瓦などと呼ばれることも多い屋根材です。

この屋根は、塗装をすると見た目はかなりきれいになります。
色あせていた屋根がピカピカになり、一見すると強度も増したように感じるかもしれません。

ですが、私としてはこの屋根材に対して、簡単に塗装をおすすめすることはできません。

理由の一つは、塗装工事の際に職人が屋根の上を何度も歩くことです。
高圧洗浄、下塗り、中塗り、上塗りなど、塗装工事ではどうしても屋根の上を歩く回数が増えます。

セメント瓦は、年数が経ってくると屋根材自体がだんだん脆くなっていることもあります。
そこへ人が何度も乗ることで、瓦が割れたり、下地に負担がかかったりする可能性があります。

見た目をきれいにするための工事が、逆に屋根にダメージを与えてしまうこともあるということです。

もう一つ大きな問題があります。
それが、セメント瓦・モニエル瓦の表面にある「スラリー層」と呼ばれる部分です。

このスラリー層は、屋根材の表面に色がついている層であり、この屋根材にとって非常に重要な部分です。

塗料メーカーの仕様書などでは、本来このスラリー層をしっかり除去してから塗装するという内容が書かれていることがあります。

ですが、ここが非常に難しいところです。

この屋根材は、もともと表面のスラリー層で防水性を保っている屋根材です。
そのスラリー層を一度剥がし、その上から塗料でスラリー層に近い状態を作る、という考え方にはなっています。

しかし、現実的にそれをきちんと再現するのは、私はかなり難しいと思っています。

仮に、セメント瓦やモニエル瓦のスラリー層をきちんと剥がし、正式な手順に近い形で塗装を行ったとしても、その塗膜による防水機能は長期間持つものではないと言われています。

場合によっては、5年ほどでまた同じようなメンテナンスが必要になるという考え方もあります。

そうなると、5年ごとに足場を組み、屋根の塗装を繰り返すことになります。
これは、お客様にとってかなり大きな負担になります。

毎回足場代もかかりますし、屋根の上を職人が何度も歩くことにもなります。
費用面でも、屋根への負担という面でも、あまり良い選択とは言えないと思います。

実際には、多くの業者さんがこのスラリー層を完全には剥がさず、その上から塗り重ねていることも多いと思います。

ただ、スラリー層を剥がして塗るにしても、剥がさずに塗るにしても、私はこの屋根材に対して塗装をするメリットはあまり大きくないと考えています。

そのため、今回もお客様には正直にお伝えしました。

長くこの家に住む予定があるのであれば、将来的には葺き替えを考えた方が良いです。
そこまで長く住む予定がないのであれば、今すぐ無理に屋根塗装をせず、そのまま様子を見るという選択もあります。

もちろん、雨漏りしている場合は別です。
ですが、雨漏りしていないのであれば、まだしばらく持つ可能性もあります。

その場合は、今すぐ塗装にお金をかけるよりも、将来的な葺き替え工事のために予算を蓄えておく方が、結果的には良いと思います。

屋根塗装は、見た目をきれいにするという意味では効果があります。
ですが、すべての屋根に塗装が向いているわけではありません。

特にセメント瓦やモニエル瓦の場合、長持ちという観点で見ると、塗装をすることがかえってデメリットになることもあります。

屋根の状態や屋根材の種類によって、本当に必要な工事は変わります。
今回も、ただ塗装をすすめるのではなく、お客様にとって一番損の少ない選択をお伝えさせていただきました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次